2026/08/24
「月次決算がなかなか締まらない」「試算表ができる頃には、数字がすでに古くなっている」とお悩みではないでしょうか。
月次決算の遅れは、単に経理担当者の処理速度だけが原因とは限りません。多くの場合、資料の集め方、締めのルール、確認手順、業務分担など、経理業務全体の仕組みに原因があります。
この記事では、決算が毎月遅れる会社に共通する5つの特徴と、決算早期化に向けた具体的な改善方法を解説します。
月次決算が遅れると何が問題なのか
月次決算は、経営者が会社の現状を把握し、次の行動を決めるための重要な情報です。数字の確定が遅れると、利益の減少や資金繰りの悪化、予算との差異などへの対応も後手に回ります。
また、毎月の締め作業が長期化すると、経理担当者が改善や分析に取り組む時間を確保できません。その結果、目の前の処理に追われ、翌月も同じ遅れを繰り返す悪循環になりやすくなります。
共通点1.請求書や経費資料の回収が遅い
経理部が処理を始めたくても、各部門から請求書、経費精算書、売上資料などが届かなければ月次決算は進みません。提出期限が曖昧だったり、遅れた場合の対応が決まっていなかったりすると、毎月のように資料待ちが発生します。
改善方法:提出期限と未着時のルールを明確にする
資料ごとに提出期限、提出方法、担当者を決めます。期限までに届かない資料については、見積計上を行うのか、翌月処理とするのかなど、重要性を踏まえた判断基準も明文化します。経理部だけで決めるのではなく、営業・購買・人事など関係部門と共有することが重要です。
共通点2.月末・月初に作業が集中している
請求書の確認、仕訳入力、入出金の照合、残高確認をすべて月初にまとめて行うと、短期間に大量の作業が集中します。月末を迎えるまで着手できないと思われている業務の中にも、日次・週次で前倒しできるものがあります。
改善方法:月中処理と事前準備を増やす
日々の入出金確認、固定資産の登録、立替経費の確認、定型仕訳の準備などを月中に処理します。決算前にできる作業と、月末後でなければできない作業を分けるだけでも、月初の負荷を減らせます。
共通点3.業務が特定の担当者に属人化している
「このExcelは担当者しか分からない」「特定の仕訳だけ判断根拠が残っていない」という状態では、担当者の休暇や退職によって作業が止まります。また、レビュー担当者も処理内容を確認しにくく、差し戻しや調査に時間がかかります。
改善方法:手順だけでなく判断基準を残す
業務マニュアル、月次チェックリスト、勘定科目ごとの確認ポイントを整備します。操作方法だけでなく、「どの資料を根拠にするか」「差異がいくら以上なら調査するか」「誰に確認するか」まで残すと、担当者が変わっても安定して処理できます。
共通点4.Excelやシステムへの二重入力が多い
部門ごとに異なるExcelを使用し、同じ情報を販売管理システム、請求システム、会計ソフトへ何度も入力している会社では、転記作業と照合作業が増えます。ファイルの版管理ができていない場合、どの数字が最新かを確認するだけでも時間がかかります。
改善方法:データの入口と保管場所を統一する
まず、どの情報を、誰が、どこへ入力しているかを一覧化します。そのうえで、重複入力や不要な集計を減らし、会計システムとの連携やインポートを検討します。システム導入を先行させるのではなく、業務フローを整理してから仕組みを選ぶことが大切です。
共通点5.チェック方法と完了条件が決まっていない
担当者ごとに確認範囲が異なったり、少額の差異まで毎月調査したりすると、決算の完了時期が安定しません。レビューで同じ指摘が繰り返される会社では、修正と再確認にも時間を要します。
改善方法:チェックリストと重要性基準を定める
勘定科目ごとに確認資料、担当者、期限、レビュー者、完了条件を決めます。差異の調査基準や翌月修正が可能な項目も明確にし、経営判断に必要な精度と速度のバランスを取ります。遅延理由を毎月記録し、翌月の工程へ反映することも有効です。
決算早期化を進める3つのステップ
1.現在の締め日程を見える化する
資料回収、仕訳入力、残高確認、部門確認、上長レビュー、報告資料作成に分け、各工程の開始日と完了日を記録します。どこで待ち時間や手戻りが発生しているかを把握します。
2.優先順位を決めて小さく改善する
すべてを一度に変える必要はありません。影響が大きく、改善しやすい工程から着手します。たとえば、提出期限の統一、定型仕訳の前倒し、チェックリストの導入などは比較的始めやすい施策です。
3.目標日と役割分担を定める
「翌月10営業日まで」など具体的な目標を設定し、各工程の担当者と期限を決めます。早期化後も定期的に振り返り、業務量や組織の変化に合わせて運用を見直します。
まとめ
決算が毎月遅れる会社では、資料回収の遅れ、月初への作業集中、属人化、二重入力、不明確なチェック方法といった課題が重なっていることが少なくありません。
決算早期化を実現するには、担当者の努力だけに頼らず、業務フローと判断基準を整えることが重要です。まずは現在の工程を見える化し、遅延の大きな原因から一つずつ改善していきましょう。
合同会社磯部会計事務所では、月次・年次決算の工程整理、経理業務の標準化、経理基盤の再構築をご支援しています。詳しくは経理改善・経理基盤再構築サービスをご覧ください。