経理の実務|月次業務の振り返りを翌月の改善につなげる
月次業務が終わると、すぐ次の仕事が始まります。その中でも、遅れや手戻りを短く記録しておくと、翌月の同じ作業を見直しやすくなります。反省会で終わらせない振り返りの進め方です。
予定と実績を、工程ごとに比べる
資料回収、入力、確認、部門への照会、報告資料の作成など、工程ごとに予定日と完了日を並べます。全体の終了日だけでは、どこで時間がかかったか分かりません。
日付を細かく取れない場合は、予定どおりか、遅れたかを記録するところから始めます。記録自体が大きな負担にならない粒度にしてください。
遅れた理由を、次に変えられる言葉で書く
「忙しかった」だけでは、翌月も同じ状態になります。「提出資料を待った」「元データの条件が違い再作成した」「確認者が不在だった」のように、実際に起きたことを書きます。
本人の性格や能力の評価ではなく、どの工程で何が起きたかを対象にします。複数の原因がある場合は、最も影響したものから確認します。
翌月に変えることを一つ決める
- 起きたこと:資料の提出先が分かれ、回収確認が二重になった
- 変更すること:提出先を一つにし、受領一覧を共有する
- 担当:窓口となる担当者を決める
- 実施時期:翌月の資料依頼前に案内する
- 確認方法:重複確認の回数と未提出件数を見る
これは記録例です。改善案をたくさん出すより、実際に変える対象と確認方法を決めます。
次の月は、前回の変更を確認してから振り返る
取り組んだ結果を見ずに毎月新しい改善案を出すと、何が有効だったか分からなくなります。前回決めたことが実施されたか、問題が減ったかを確認します。
効果があった変更は手順書や予定表へ反映します。効果がなかった場合も、記録を残して見直します。うまくいった工程についても、次月へ残したい工夫を一つ書いておくと、改善を続けやすくなります。
経理の実務|外部支援が終わる前に確認したい引継ぎ事項
外部の支援者が入って業務が落ち着いても、支援終了後に社内で回せるとは限りません。終了直前に資料を受け取るだけでなく、社内担当者が実施できる状態まで確認するための項目をまとめます。
終了日から逆算して、試す日を設ける
まず終了後の担当者と副担当を決め、支援者がいる間に社内担当者が作業する機会を設けます。月次業務なら、どの月の作業で試すかを決めておきます。
手順説明の日と、実際に作業する日を分けると、質問が出る時間も確保できます。未経験の年次業務については、資料と問い合わせ先を別途確認します。
成果物は、保存先と更新方法まで受け取る
- 業務一覧、締切、社内担当者
- 使用システムと必要な権限
- 手順書、元データ、出力資料の保存先
- 通常と異なる処理の記録と確認相手
- 未完了事項、次の行動、期限
資料が納品されたことと、社内で使えることは別です。リンク先が開けるか、編集が必要な資料を更新できるかも確認します。
本人が一回分を実施して、残る質問を出す
社内担当者が元資料を集め、作業し、確認に回し、保存するところまで行います。支援者が代わりに操作しないと進まない箇所があれば、必要な情報を手順書に追記します。
確認結果は「説明済み/本人が実施/確認済み/追加支援が必要」に分けます。終了日までに終わらない事項は、担当者と対応予定を決めて引き継ぎます。
終了後の連絡とアクセスの扱いを明確にする
質問を受けられる期間や範囲は、契約内容を確認したうえで当事者間で共有します。口頭で期待するだけにせず、誰へどの方法で連絡するかを明らかにします。
支援者のアカウントや共有権限は、会社の管理手順に従って見直します。その前に、社内側に必要な資料や管理権限が引き継がれているかを確かめてください。
経理の実務|改善したいことが多すぎるときの優先順位
資料の遅れ、二重入力、手順書不足。経理の課題を洗い出すと、どれから手を付けるか迷うことがあります。担当者の負担を増やしすぎず、最初の一歩を決める整理方法を紹介します。
困り事を、作業が見える単位にする
「属人化している」だけでは、取り組む内容が大きすぎます。「請求書の保存先を一人しか知らない」「部門別集計の条件が記録されていない」のように、具体的な状態に分けます。
一つの課題に複数の作業を詰め込まないようにします。どこまで直せば一区切りかを決められる大きさが目安です。
影響、頻度、着手しやすさを分けて考える
- 影響:放置すると、どの業務や期限に影響するか
- 頻度:毎日、毎月、年に一度など、どれくらい起きるか
- 着手しやすさ:必要な時間、協力者、権限は何か
この三つをそれぞれ高・中・低などで整理します。数字を足して機械的に決めるより、直近の期限に影響する課題を先に確認します。作業が簡単という理由だけで重要な問題を後回しにしないようにします。
最初は、一つか二つに絞って試す
改善案ごとに担当者、実施する期間、確認する結果を決めます。例えば、資料提出先の統一なら「翌月の一部門で試し、未提出の確認に何回連絡したかを見る」と具体化します。
改善に使う時間も通常業務と一緒に予定へ入れます。空いた時間にやるという扱いでは、期限のある仕事に押されて進みにくくなります。
改善前の状態を記録しておく
作業時間、差し戻し回数、確認の往復など、改善案に合うものを一つ選んで記録します。効果がなければ、実施が不十分だったのか、原因の見立てが違ったのかを振り返ります。
小さな試行がうまくいったら対象を広げます。課題一覧は、一度作って終わりではなく、完了したものと残るものが分かる形で更新してください。
経理の実務|差し戻しを減らすチェック依頼の出し方
資料を確認に回した後で、「元データはどこ」「どこを直したの」と聞き返される。チェック依頼の往復を減らすには、資料と一緒に、確認してほしい範囲と判断に必要な情報を渡します。
資料を渡すときに、依頼の目的を書く
対象期間、資料名、確認してほしい内容、希望期限を記載します。「確認お願いします」だけでは、全体を精査するのか、一部の変更だけを見るのか分かりません。
例えば「○月の部門別集計です。前回指摘の集計範囲を修正しました。対象部門と集計結果を○日までに確認してください」と書くと、作業範囲が伝わります。
根拠と、作成者が確認した内容を添える
元データの保存先と、加工した内容を案内します。作成者自身が件数や合計を照合した場合は、比較した資料と結果も記載します。
未確認の項目を、確認済みのように扱わないことが大切です。判断に迷う点があれば、該当箇所と相談したい内容を別に示してください。
差し戻す側も、修正範囲を具体的にする
- どのファイル・シート・項目か
- 何が不足している、または一致しないか
- 修正してほしい内容か、追加説明がほしい内容か
- 再提出の期限と、再確認する人
「全部見直し」だけでは、優先順位が分かりません。全体に関係する問題なら、まず代表例を示して共通の原因を説明します。
再提出時に、前回からの変更点を残す
修正箇所と対応内容を一覧にし、再提出した版を特定します。同じ名前のファイルを複数送る運用は避け、利用する保管場所をそろえます。
毎月同じ理由で差し戻す場合は、提出後に直すだけでなく、作成者の確認項目へ反映します。「入力漏れ」「資料不足」「判断の相違」など原因を分けると、改善する工程が見えてきます。
経理の実務|15分の進捗会議で決める、担当・期限・次の行動
経理の会議で状況報告はしたのに、翌日も作業が止まっている。短い進捗会議では、すべての作業を説明するより、止まっている事項の次の行動を決めると運用しやすくなります。
会議の前に、話す対象を絞る
期限に間に合わない可能性があるもの、他部門の回答待ち、判断者が必要なものを事前に一覧へ記入します。完了した作業は一覧で共有し、会議では説明を省けるようにします。
項目には、対象業務、今の状態、止まっている理由、決めたいことを書きます。「進捗が遅れています」だけでは、会議の場で一から事情を確認することになります。
15分の進め方を固定する
- 最初の3分:直近の期限と、遅延のおそれを確認
- 次の9分:止まっている事項の担当と次の行動を決定
- 最後の3分:誰が何をいつまでにするか読み合わせ
これは運用例です。論点が多い日は、すべてを時間内に押し込めず、重要な項目を優先します。会計上の判断など詳しい検討が必要なものは、必要な人を集めた別の打合せにします。
議事録は、発言より決まった行動を残す
記録するのは「対象事項/決定事項/実行担当/期限/完了の確認方法」です。例えば「請求書未着について営業へ確認」ではなく、確認する担当者、回答を得たい日、回答の記入先まで決めます。
まだ結論が出ない場合も、未決定と残します。そのうえで、追加資料を集める担当と、再度判断する日を決めてください。
次回は、前回の約束から確認する
毎回新しい報告から始めると、前回の宿題が埋もれます。期限を迎えた行動が完了したかを確認し、未完了なら次の対応を決めます。
会議を続けても同じ事項が残る場合は、会議の頻度より、判断権限や部門間の連絡経路を見直します。会議の目的は報告を終えることではなく、業務を次へ進めることです。
経理の実務|Excelを引き継ぐときに残す「使い方」以外の情報
Excelの操作を説明したのに、翌月になると使えない。引継ぎでは、ボタンや入力セルだけでなく、元データ、数式の前提、出力後の確認方法を残す必要があります。既存のブックを安全に引き継ぐための整理です。
最初に、何を作るブックなのかを書く
ブックの目的、作成頻度、利用者、最終的な提出先を書きます。元データを加工するものか、集計するものか、報告書を作るものかで確認箇所は変わります。
シートが多数ある場合は、入力、計算、確認、出力の役割を案内します。不要に見えるシートでも、数式やマクロが参照している可能性があるため、引継ぎ時に見た目だけで削除しません。
入力する前に確認する条件を残す
- 元データを出すシステムと、出力条件
- 対象期間と対象部門
- 必要な列名や並び順
- 貼り付けるシートと範囲
- 前月分を消すのか、追記するのか
特に前月データの残りや、抽出条件の違いは結果に影響します。「いつものデータ」という呼び方を避け、出力画面や条件を具体的に残します。
数式を触ってよい場所と、確認する数字を分ける
入力セルと計算セルを見分けられるようにし、変更時の確認者を決めます。色分けを使うなら、その意味を説明します。外部ファイル参照やマクロがある場合は、参照先と管理者も記載します。
処理後には、件数や合計が元資料と整合するかを確認します。何と何を比較するか、差が出たら誰に相談するかまで決めておくと、操作だけの引継ぎより確実です。
次の担当者に、一回分を再現してもらう
過去の確定済みデータを使い、作業用のコピーで一回分を再現します。説明者が代わりに操作せず、手順の不足を記録してください。
完成したブックだけでなく、使用した元データと確認結果も残します。実際の運用へ戻す前に、対象期間や参照先が練習用のままになっていないか確認します。
経理の実務|質問が担当者に集中するときの問い合わせ管理
経理担当者の仕事が、社内からの質問で何度も中断される。そんなときは、質問を減らす前に、どこで受け、誰が答え、回答をどこに残すかを決めると整理しやすくなります。
受付先と、緊急の連絡先を分ける
通常の質問は共有メールや社内の管理ツールなど、確認できる入口に集めます。個人宛てに届いた場合も、必要な範囲で共有先に記録します。
ただし、今日中の支払に関係するなど急ぐ案件を通常の待ち列に埋めないよう、緊急時の連絡方法を別に定めます。質問内容に個人情報がある場合は、共有範囲にも配慮します。
依頼時に、判断に必要な情報をそろえる
「これでいいですか」だけでは、背景の確認に往復が生じます。依頼者には、対象業務、対象資料、困っている点、回答が必要な日を添えてもらいます。
例:「○月の経費申請について、添付資料の提出先が分かりません。○日までに申請したいため、保存先を教えてください」。質問文の例を示すと、依頼者も書きやすくなります。
受付後は、担当と状態を見えるようにする
- 受付日・依頼者・件名
- 担当者・回答期限
- 状態:未着手/確認中/依頼者へ確認中/回答済み
- 回答内容・根拠資料の場所
- 同じ質問が来たときの参照先
「確認中」のまま止まる案件には、誰から何の回答を待っているかも残します。担当者が休んでも、別の人が続きを把握できる状態を目指します。
繰り返す質問から、案内を一つ改善する
件数の多い質問を月に一度振り返ります。保存先、締切、申請方法など、答えが安定しているものから案内へ反映します。個別判断が必要なものは、一律のFAQにせず相談窓口を案内します。
回答集には更新日と管理者を付けます。古い回答をそのまま使ってよいか判断できるよう、対象となる業務や期間も明示しておくと安心です。
経理の実務|共有フォルダで「最新ファイルが分からない」を防ぐ
「最終版」「最終版2」「本当の最終版」が並ぶと、確認するだけで時間がかかります。経理の共有フォルダは、細かく分けることより、誰が見ても使用するファイルを判断できることが大切です。
使用中のファイルと、保存用のファイルを分ける
作業中、確認待ち、確定済みのどこにあるかが分かる構成にします。同じ資料を複数の場所へコピーして運用すると、更新が分かれます。使う場所を一つに決め、他の資料からはリンクで案内します。
既存ファイルを一度に移す前に、集計表や他のブックから参照されていないか確認してください。場所の変更だけで、連携が動かなくなることがあります。
名前には、対象期間と資料名を入れる
例えば「2026-09_売上集計_作業中」のように、期間と内容が読める形にします。更新日を付ける場合は、対象月と更新日が区別できる順序にしてください。
命名ルールは短くし、実例を一つ添えます。名前だけでは管理しきれない承認状況は、別の管理表や利用システムの履歴で確認します。ファイル名に「確定」と書くだけで承認を代替しないことが大切です。
入口に、資料の案内表を置く
- 資料名と、何に使うか
- 正本として使う保存先
- 更新する担当者と頻度
- 確認者と、確定を確認する方法
- 関連するファイルやシステム
新任担当者がこの表から必要な資料へたどり着ければ、説明の負担も減ります。閲覧権限がない場合の申請先も添えておきます。
整理は、一つの業務で試してから広げる
まず一つの月次資料で試し、担当者以外に探してもらいます。迷った場所を修正してから、他の資料へ広げます。
古いファイルを整理するときも、保存が必要な資料や参照元を確かめてから進めます。見た目をすっきりさせるために一括削除するのではなく、保管ルールに従って扱ってください。完成後も業務が変わった月に案内表を更新します。
経理の実務|請求書の提出が遅れるとき、催促の前に整えること
毎月、請求書を集めるために同じ催促をしていませんか。提出の遅れは、担当者の意識だけでなく、提出先や締切の曖昧さからも起こります。資料回収の流れを整える手順を紹介します。
まず、届くまでの経路を一本ずつ確認する
取引先から誰に届き、その人がどこに保存し、経理がいつ受け取るかを確認します。メール、紙、取引先のサイトなど、入口ごとに経路を書き出してください。
「経理に未提出」でも、会社には届いていて担当部門で止まっている場合と、取引先からまだ届いていない場合では、連絡先が違います。この二つを分けて管理します。
提出ルールは、日付と提出先を一緒に伝える
「早めにお願いします」では完了条件が分かりません。対象月、社内締切、保存先、提出後の連絡方法を決めます。休日の扱いと、締切後に届いた資料の相談先も明記します。
依頼文の例は「○月分の請求書を、○日までに共有フォルダの○月フォルダへ保存してください。未着のものは、取引先名と到着予定日を一覧に記入してください」です。
未着一覧に、次の行動を残す
- 対象月と取引先
- 資料を受け取る部門・担当者
- 状態:未受領/受領済み・未提出/提出済み
- 到着予定日と最終確認日
- 次に連絡する人と連絡予定日
金額が分からない場合は推測で埋めず、未確認とします。未着資料に関する会計処理は、資料回収の担当者が独断で決めず、社内の判断者に確認します。
翌月は、遅れた経路を一つ直す
回収が終わったら、誰が遅れたかだけでなく、どこで止まったかを振り返ります。提出先が複数あるなら統一し、特定の担当者しか受信しないなら共有方法を見直します。
毎月の催促件数と、締切時点の未提出件数を残すと改善を確認できます。最初から全資料を変えるより、件数の多い経路から整える方が進めやすくなります。
公認会計士になるまでの道のり⑤|社会福祉法人の経理を3か月で辞めた話
会計士を目指していた受験生の間に、社会福祉法人で経理をしたことがあります。しかし、続いたのは3か月でした。合格した後の経歴からは見えにくい、途中で仕事を辞めた経験について書きます。
会計を勉強していても、仕事は続かなかった
受験生の私は、社会福祉法人で経理の仕事をしました。そして、3か月で辞めました。自分の言葉で言えば、逃げ出した経験です。
会計士を目指していたからといって、最初から経理の現場で働き続けられたわけではありません。資格の勉強と、実際の職場で仕事を続けることは、同じ経歴の中にあっても別の出来事でした。
この経験を、法人全体の評価にはしない
ここで書いているのは、私がその仕事を3か月で辞めたという事実です。一つの経験だけで、社会福祉法人の経理全体がどういう仕事かを決めることはできません。
また、短期間で退職したという結果だけで、職場の事情や個人の事情をすべて説明することもできません。私の経歴の一部分として、その範囲で読んでいただければと思います。
退職した後も、受験の道のりは続いた
大学2年生から始めた勉強は、27歳の合格まで長くかかりました。その間には、アルバイトをしながら暮らした時間も、経理の仕事を辞めた出来事もありました。
合格という結果だけを先に見ると、途中も一つの目標に向かってきれいにつながっていたように見えるかもしれません。しかし、私の経歴には、続かなかった仕事もあります。
受験と仕事を両立するときの確認事項
これから両立を考える方は、「経理の仕事だから勉強にもなる」という期待と、実際の勤務条件を分けて確かめると、予定を立てやすくなります。
- 通常月と繁忙期で、勤務時間がどう変わるか
- 仕事で分からないことを、誰に確認できるか
- 担当業務と、試験で学ぶ範囲がどこまで重なるか
- 仕事の後や休日に、どの程度学習時間を取れるか
これは当時の退職理由を説明する一覧ではありません。受験と仕事を一緒に考えるときの確認項目です。私自身の連載には、成功したことだけでなく、こうした途中の出来事も残していきます。
公認会計士になるまでの道のり④|一人暮らしの受験は、生活費との両立だった
受験生活を振り返ると、教材や試験のことだけでなく、食事のことも出てきます。朝はカップラーメンの麺を食べ、昼はスープに米を入れておじやにする。お金のなかった一人暮らしの話です。
勉強していても、暮らしの費用はかかる
両親との仲が悪かった私は、一人暮らしをしていました。アルバイトをしながら受験する生活で、お金に余裕はありませんでした。
受験生であっても、住む場所と食事は必要です。勉強の予定だけを考えても生活は回りません。働く時間と学ぶ時間が、同じ一日の中にありました。
食事に出ていた、当時の暮らし
醤油で煮込む料理を作ることもありました。カップラーメンは、朝に麺を食べ、昼に残ったスープに米を入れて食べていました。
今、会計士という肩書だけを見ている方には、想像しにくいかもしれません。けれど、これも私の受験生活の具体的な一場面です。華やかな合格体験というより、毎日の生活をつなぎながら勉強していた話です。
100万円は、勉強する時間を確保するためのお金だった
その後、勉強に専念するために100万円を貯め、3か月間集中しました。ここで変えたのは、単に勉強の予定だけでなく、生活と時間の使い方でもありました。
ただし、100万円が誰にとっても必要な金額という意味ではありません。住居費も生活の条件も違います。私の金額を、そのまま受験資金の基準にすることはできません。
一人暮らしで受験を考える方へ
計画を作るなら、勉強時間の表とは別に、生活を続けるための項目も書き出してみてください。金額を決めつけるのではなく、自分の条件を確かめるための整理です。
- 毎月必要な住居費や食費、通信費
- 教材や受験のために予定している支出
- 働く時間と、継続して確保できる学習時間
- 予定が延びたときに、生活をどう続けるか
私の場合、受験の話と生活の話は切り離せません。勉強の背景にある暮らしも含めて、道のりを書き残したいと思います。
公認会計士になるまでの道のり③|「3か月で合格」の前にあった長い時間
100万円を貯め、3か月間勉強に集中して合格した。私の経歴には、そう書ける一部分があります。ただ、その一文だけでは、大学2年生から27歳までの時間が抜け落ちます。今回は、合格体験談の「期間」について書きます。
勉強を始めた時期と、専念できた時期は違う
勉強を始めたのは大学2年生でした。合格したのは27歳です。一方で、100万円を貯めて勉強に専念したのは3か月間でした。この二つは、違う期間を表しています。
私には、一人暮らしでアルバイトをしながら受験していた時期があります。受験生活の長さと、勉強だけに使えた時間を同じものとして扱うと、実際の生活が見えなくなります。
最後の3か月だけで、経歴全体は説明できない
最後に集中できたことは、私の合格までの大切な出来事です。しかし、それ以前の勉強をなかったことにはできません。「ゼロから3か月で合格した」という話ではないのです。
逆に、長く受験していたというだけで、その時間をすべて同じ密度の勉強時間と考えるのも違います。生活費を得るために働く時間も、その間の暮らしもありました。
体験談を読むときに、期間と一緒に確かめたいこと
合格体験談を自分の計画の参考にするなら、月数だけでなく、その人がどんな条件で勉強していたかも見ると役立ちます。
- その期間より前に、簿記などの学習経験があったか
- 仕事や家事と両立していたか、勉強に専念していたか
- 生活費をどのように確保していたか
- 「合格まで」が、どの試験や段階を指しているか
自分の予定は、自分の生活から組み立てる
他の人の3か月と、自分の3か月は同じ条件とは限りません。使える曜日と時間を書き出し、生活のために必要な時間も残したうえで計画を作る。その方が、期間だけをまねするより具体的です。
私自身の話も、「27歳で合格」「最後は3か月集中」の両方を含めて読んでいただければと思います。短い言葉にすると消えてしまう時間も、この連載では残していきます。